沈黙は、ただそこに在る──憑在する喜劇としての『陽気な幽霊』
日本に蘇った「幽霊」 2025年5月3日、東京・シアタークリエで初日を迎えたノエル・カワード作『陽気な幽霊』日本公演(演出:熊林弘高)。ティザービジュアルには、作家チャールズ役の田中圭を中心に、飛び交う家財道具と共に登場…
日本に蘇った「幽霊」 2025年5月3日、東京・シアタークリエで初日を迎えたノエル・カワード作『陽気な幽霊』日本公演(演出:熊林弘高)。ティザービジュアルには、作家チャールズ役の田中圭を中心に、飛び交う家財道具と共に登場…
序章:なぜ、このドラマに震えたのか 画面に映る海辺の廃墟、そしてそこで交錯する現在と過去――日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系/2024年)を観終えたとき、私の胸には小さな震えが残っていた。物語の最後のシーンで、…
『アンサンブル』とは何だったのか 2025年冬、日本テレビが放った土曜ドラマ『アンサンブル』は、一見すると意欲的な試みだった。現実主義の女性弁護士と理想主義の新人弁護士がバディを組み、「恋愛トラブル裁判」に挑むという、法…
1. はじめに:なぜ『虎に翼』とデリダの正義論を接続するのか? NHKの「連続テレビ小説」『虎に翼』(2024年前期放送)は、日本初の女性弁護士の一人にして初の女性判事となった三淵嘉子氏の実話をもとに、困難な時代に道なき…
現代と過去の狭間で 柔らかな冬の日差しを背に劇場の扉をくぐれば、そこはまったく別の世界だ。 真昼の現実と、16世紀の亡霊たちが今まさに蘇ろうとするステージ。その境界で耳を澄ますと、かすかな調弦の音が空間に満ち、観客のざわ…
はじめに:記憶をつなぐ日記と身体 ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』は、記憶障害を抱える脳外科医・川内ミヤビ(杉咲花)の日記を通じて日々を紡ぐ物語だ。 杉咲花&若葉竜也『アンメット』見逃し配信で新記録を樹立…
はじめに: 数学的構造の眼で舞台を観る 20世紀最高のオペラ歌手マリア・カラスが現役引退後に行った伝説のマスタークラスを題材にした舞台『マスタークラス』。 2025年に再演された日本版(森新太郎演出)では、元宝塚歌劇団ト…
はじめに NHK連続テレビ小説『おむすび』(2024年後期)は、「ギャル」と「栄養士」という一見かけ離れた二つの世界を一人のヒロインで描いた、朝ドラ史上異色の作品だった。 2024年度後期連続テレビ小説「#おむすび」放送…
最後の宿題 2022 独断と偏見で選ぶ!超個人的な優秀作品賞3選と、2022 独断と偏見で選ぶ!超個人的な優秀男優賞3選を発表した後は、いよいよ最後の宿題、優秀女優賞の発表である。 実はこの記事を書いている間、個人的にか…
あけましておめでとうございます 皆様、あけましておめでとうございます。2023年も、どうぞよろしくお願いいたします。 というか。昨年の宿題を残したまま、年を越すというのは、本当に良くないのが身に沁みてわかったので。今年の…