地面が必要
いきなりだが、私は、海外旅行が嫌いである。
長時間、飛行機に乗るのは、いつまで経っても慣れない。エコノミーとかビジネスとか関係なく、己の足元に地面がないという状況が恐ろしい。
仕方なく眠ろうとしても、機体は予告もなくガクンと揺れる。結局、機内では一睡もできずに現地に降り立ち、ホテルの部屋に入った途端に気絶する。
そんな私が、クレオタであるというのは、どこか矛盾しているように思う。
修行は無理
クレオタの多くは、旅を愛している。
航空会社のマイルをコツコツと貯め、JGCやSFCなどの上級会員になるためだけに、石垣島へ日帰りで出掛けたりする。この行為は、業界内で修行と呼ばれる。
私は一生、そのような修行僧には、なれないと思う。
アメックスを解約しない理由
さて、クレジットカードには、決済カードとT&Eカードという区分がある。
決済カードは、「いつでもどこでも使える」という利便性を重視したクレジットカードで、VisaとMasterCardがその代表格。
それに対して、T&Eカードは、トラベル&エンターテイメントの名の通り、旅行中の利用(ホテル・レストランなど)を重視している。
T&Eカードの代表格は、アメリカン・エキスプレス。通称、アメックス(AMEX)である。
暖かくした部屋での読書も、冬の過ごし方のひとつ。 #芥川賞 #直木賞 pic.twitter.com/ntTCKnGerD
— Amex Japan (@AmexJP) January 16, 2019
私のアメックス歴は約10年。この間に、グリーン→プラチナ→ゴールドという変遷を辿ってきた。
私は最近、JCBを育成しているので、アメックスを日常生活ではほぼ使っていない。だが、私の中で、一生解約しないと決めているカードは、アメックスだけだ。
なぜ、海外旅行が嫌いな私が、T&Eの代表格であるアメックスを手放さないのか。
今回、誰にも頼まれていないが、その理由を記してみる。どうか、薄眼を開けて読み流してほしい。
百人隊長の知名度
私は、海外旅行は嫌いだが、海外出張には行く機会がある。本音を言えば断りたいのだが、仕事なのでどうしようもない。
長距離フライトで体力が尽き果てた、死体のような姿でホテルに辿り着いた時、アメックスはその本領を発揮する。
よく知られているように、海外のホテルでは、デポジット(保証金)として、チェックインの際に、クレジットカードを提示する必要がある。
よく考えると、極東からやってきた謎の人間を宿泊客として迎え入れる。というのは、ホテル側にとって、勇気が必要な行為。
だが、その人間がアメックスを持っていれば、大丈夫。
アメックスの最大の長所は、券面が世界共通であり、国境に関係なく、一定の信用が得られる点だ。
日本国内では無敵の、どえらいカードも、海外ではあまり知られていない。それに対し、百人隊長の絶大なる知名度は、大きな味方になってくれる。
新年のお買い物もアメックス・カードと一緒にお楽しみください。 pic.twitter.com/32HhAO0SbU
— Amex Japan (@AmexJP) January 3, 2019
私は昔、ジャマイカへの出張をなぜか命じられたことがある。しかも、1ヶ月弱の長期滞在。どう考えても絶望的。
現地のホテルで、私は試しにVisaのカードを出してみたのだが、受付のおばさんはどこか苦い顔。これだと10日間までしか決済できず、後で、支払いを繰り返さないと駄目と言われた。
だが、「じゃあ、これはどう?」と代わりに差し出したアメックスは、一発でOK。おばさんも「アメックスなら大丈夫よー」と明るい顔で、警戒を解いてくれた。
経済的に豊かではない国では、アメックスの信用力は想像以上に高い。
ちなみに、ジャマイカは意外とご飯が美味しかったので、滞在中は楽しく過ごせた。治安は悪いけれども、憎めない国。
アメリカンな発想
アメックスの審査基準については、世間で色々な噂が飛び交っている。
「過去に事故があっても通る」とか、「ゴールドの審査はグリーンより甘い」とか、種類はさまざま。だが、別に、アメックスの審査は適当ではない。
「アメックスは誰でも持てる」と言われるのは、アメックスが、カード発行後の利用状況を判断して、段階的に限度額を上げていく会社だからだ。
利用者の支払い状況を調査することを、途上与信と呼ぶが、アメックスはこの途上与信を頻繁に行う。
私も実際に、自分の信用情報(CIC)を確認したことがある。そこでも、アメックスが、きちんと状況をチェックしている履歴があった。
ネットでは、「アメックスゴールドを申し込んだのに限度額が20万だった。バカにするな!解約してやる!ムキー!」という人をよく見かける。
けれどもそれは、アメックスの方針をよく理解していないために起きた誤解である。
アメックスの場合、誰でも最初は、年収の5%程度が、利用目安額として設定される。その後、毎月の支払いを重ねることで、その目安額は自然に上昇する。長年継続して利用していれば、数百万円程度は使えるようになる。
これが、「アメックスには、一律の限度額が存在しない」という説明の正体である。
「とりあえず付き合ってみてから相性を考える」という、アメリカンな発想。現実的で、私は好きだ。
中の人が優秀
私も、最初の頃は、利用目安額が低かった。そのため、海外出張に行く前は、カスタマーサービスに電話して、事前承認を得るようにしていた。
アメックスが素晴らしいのは、カスタマーサービスの応対品質。これは、間違いなく業界トップレベル。私は過去に何度も電話しているが、一度も不満を感じたことはない。
アメックスは、年会費が高いことで知られるが、その分、サポートが充実しているのだ。
アメックスのサービスの特徴は、適度にフレンドリーな点にある。気軽に何でも質問しやすい。
私は、高級店にありがちな、「丁寧だけれども、くつろげない」サービスが苦手なので、このカジュアルな応対は、肌に合っている。
つい最近も、アメックスの営業部の女性から、プラチナの電話勧誘があったが、非常に印象が良かった。
過去にプラチナを使いこなせなかったことと、今はダイナース・プレミアムを使っていることを伝えると、「では、このままでも大丈夫ですねー」と、あっさり。
中の人が優秀なのも、私がアメックスを解約しない大きな理由のひとつ。
そこにいてくれる安心感
私は正直、アメックスを十分に使いこなせていない。外食もしないので、代表的なサービスである、「招待日和」すら、利用したことがない。
年会費分のメリットを物理的に享受しているか?と訊かれると、まず間違いなく、していない。
でも、お財布の中にアメックスがあることで、安心できる。
今後、「ジャマイカに行け」と、会社に再び命令されないとも限らない。だが、キングストンにいるホテルのおばさんは、笑顔でまた、「AMEX!OK!」と言ってくれるはずだ。
国境を超えた、百人隊長の戦闘力。私は一生、アメックスを手放すことはないだろう。
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