37という素数が年齢に登場すること

Prime Number

英語でprime numberというと、素数のことである。すなわち、1とそれ自身以外に正の約数を持たない数字。理系は素数好きが多いような気がする。

でも、この37という数字が、人間の年齢として登場してきた時、割と私は困惑した。

結構、ものの見方が変わった、ように思う。

「アラサー」の非現実感

世間的には「アラサー」とか「アラフォー」という用語が浸透しており、30歳前後の人間は「アラサー」、不惑前後の人間は「アラフォー」として一括りにされる。

そこにはやはり、年齢が「30」とか「40」とかの大台に乗った瞬間に、人生観が変わる的な発想があるように思う。あとは、ただ単純にそのほうが扱いやすいからかもしれない。

でも、リアルな感覚では、30歳になったからといって、別に大した感慨があるわけではなかった。「はあー。30歳になったなあ」と心の中では呟いたものの、特に20代の時から肉体が劇的に変化するでもなく。29歳から30歳の間、というのは、時間の流れが連続していた。

でも、35歳を過ぎた辺りから、どうも雲行きが怪しくなってくる。

37はもう戻れない数字

37は素数であり、2とか3とか5とか色々な数で割ろうとしても割り切れない頑固な数字である。それが人生の中で自分の年齢となった時、「ああ、もう元には戻れない」という認識が私を支配した。

村上春樹の書く小説は、大学生には大体酷評されるが、彼の世界には「35歳問題」というのがある。人生は35歳を境目に大きく変動し、直接法未来と仮定法過去の割合が逆転するという、そういう発想。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (文春文庫) [ 村上春樹 ]
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と言っても何のことだか。だが、要するに、未来に待ち受ける可能性の幅はどんどん狭まり、その代わりに、あれはこうできたんじゃないか、というような後悔が心の中に染み渡ってくる、というイメージ。

これは個人的に闇が深い問題だった。だが、本当にその闇の淵が見えかけたのが37歳だったと思う。

この件についてはまた今後触れたいので、とりあえず中断。







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